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【物流営業の育成】若手が育たないのは「根性」のせい?赤字部署の営業が原点の物流営業マンが教える新規開拓の仕組み化

「最近の若手は、すぐ心が折れる…」
「俺たちの若い頃は、もっと必死にお客様のところへ通ったものだが…」

中小物流企業の営業責任者として、若手の育成に頭を悩ませる中で、ふと、そんな言葉が口をついて出てしまうことはありませんか。

ご自身はプレイヤーとして必死に走り回り、顧客を開拓し、会社の売上を支えてこられた。

その経験と自負があるからこそ、目の前の若手にも「気合と根性」で壁を乗り越えてほしいと願う。

23年間、物流業界の現場一筋でやってきた私には、そのお気持ちが痛いほどよく分かります。

 

しかし、その「気合」や「根性」といった精神論だけでは、今の若手営業が育ちにくいのもまた事実です。

彼らが本当に知りたいのは、「どうすれば売れるのか?」という、再現性のある具体的な方法論ではないでしょうか。

 

この記事では、何を隠そう、私自身が「営業のやり方」など誰も教えてくれない環境で、売上ゼロから手探りで新規開拓を始めた「原点」の物語をお話しします。

 

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執筆:市川尚史

シンシアンクス合同会社 代表社員

総合物流会社で物流現場の最前線を含めた豊富な経験を活かし、営業活動の代行、企画立案、人材育成を通じて主に物流会社の成長を支援するために独立。「誠実一路」をモットーに実践型のコンサルティングを行います。
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もし、あなたが「若手にどうやって営業を教えればいいんだ…」と本気で悩んでいるなら、この記事が、営業の属人化を防ぎ、組織を強くするためのヒントになれば幸いです。

1. 私の原点:すべての始まりは「同期とのボーナス3倍格差」だった

私が社会人として物流業界に第一歩を踏み出したのは、いわゆる就職氷河期の真っ只中。配属されたのは、国際部門でも花形の部署でもない、「万年赤字」と囁かれる現場でした。

毎日汗を流して働いているのに、部署の空気はどこか停滞している。

そんな中で、私の心に火をつけた、ある出来事がありました。

 

入社2年目、久しぶりに会った同期との会話です。

当時、会社で最も勢いのあった国際部門に配属された彼のボーナス額は、私の実に3倍近くにものぼりました。

「なんで、こんなに違うんだ…?」
「同じように働いているはずなのに、なぜ自分たちの部署は正当に評価されないんだ?」

強烈な悔しさと焦りが、全身を駆け巡りました。
会社への不満を嘆くだけでは、何も変わらない。

この状況を自分の手で変えるしかない。
そう直感的に思ったのです。

「どうすれば、この部署はもっと稼げるようになるんだろう?」

営業経験も、ビジネスの知識もほとんどなかった私が、自分なりに考え抜いてたどり着いた結論は、驚くほど単純なものでした。

「売上が足りないなら、新しい仕事を取ってくればいいんだ」

これが、私の23年間にわたる物流営業キャリアの、本当の始まりでした。

2. 物流営業のリアル:誰も「新規開拓のやり方」を教えてくれなかった

「営業活動をさせてください」

私は、当時の上司に直談判しました。返ってきた答えは「ええよ。好きにしろ」。

具体的な指示も、やり方の指導も、もちろんありません。

まさに、羅針盤も持たずに大海原に一人で漕ぎ出すような感覚でした。

 

しかし、やるしかありません。

 

まず、社宅に帰って作業着をスーツに着替えました。

アポイントの取り方なんて知りませんから、最初はすべて飛び込み営業です。

研修で一度習ったきりの、おぼつかない名刺の渡し方で、地域の工場や会社を片っ端から回りました。

 

数時間の営業活動を終えると、会社に戻って再び作業着に着替え、現場の仕事を手伝う。そんな毎日を、来る日も来る日も繰り返しました。

周りから見れば、無謀で、非効率な活動だったかもしれません。
それでも、頭を下げ、断られ、時には叱られながらも、私は必死でした。

そうして、少しずつですが、新規のお客様から仕事をいただけるようになっていったのです。

「ああ、こうやって仕事は獲得していくのか」

それは、机上の研修では決して得られない、生々しい手触りのある成功体験でした。

3. なぜ若手は育たないのか?精神論による営業育成の限界

ただ、正直に告白しなければなりません。

当時の私の「気合と根性」だけの営業活動は、あくまで個人の自己満足の域を出るものでした。

新規顧客は獲得できても、万年赤字だった部署の業績をたった一人で覆すほどのインパクトは、到底なかったのです。

この経験を通して、私は一つの重要な事実に気づきました。

 

個人の頑張りや精神論(属人的なスキル)だけでは、組織を継続的に成長させることはできない。

 

今、若手の育成に悩むあなたにお伝えしたいのは、まさにこの点です。

あなたの部下も、20年以上前の私と同じように、ただ「やり方がわからない」だけなのかもしれません。

「とにかくお客様のところへ行ってこい!」と背中を押す前に、ほんの少しだけ、具体的な「武器」を彼らに渡してあげることはできないでしょうか。

営業を「仕組み化」するとは?

営業活動とは、本来、「誰でも実践できるレベルまで分解し、仕組み化できる」ものです。
例えば、以下のような要素です。

  • ターゲット選定: どんな業種・規模の企業にアプローチすれば、自社の強みが活きるのか?
  • アプローチ手法: ターゲットに対して、電話、メール、手紙、訪問のどれが最も効果的か?
  • トークスクリプト: 初回訪問で何を話し、どんな情報をヒアリングすれば、次の提案に繋がるのか?
  • 案件管理: 獲得した見込み客を、どう管理し、育成し、受注まで導くのか?

この「仕組み」こそが、私が自身の泥臭い経験と、その後のキャリア(本社営業部、赤字営業所のV字回復、東京での大規模ビジネス)を通じて体系化してきたノウハウの核心です。

そしてこれこそが、あなたの経験してきた精神論と、若手が求める具体的な方法論とを繋ぐ「架け橋」になるのです。

4. あなたの経験を「仕組み」に変え、強い営業組織を創る

「売上が足りない」というたった一つの課題意識から始まった私の営業人生は、失敗と試行錯誤の連続でした。

だからこそ、今、物流企業の現場で起きている課題や、営業担当者が抱えるリアルな悩みが、手に取るように分かります。

弊社のウェブサイトには、「泥臭い活動内容も喜んでお引き受けいたします」という一文があります。

これは単なるキャッチコピーではありません。

作業着とスーツを毎日着替え、売上ゼロからお客様を開拓してきた、私自身の経験そのものです。

もし、あなたが本気で、

  • 若手が自ら考え、動ける営業組織を作りたい
  • 営業の属人化をやめ、会社にノウハウが蓄積される仕組みを構築したい
  • ご自身の貴重な経験を、若手が実践できる形に落とし込みたい

と願うなら、ぜひ一度、あなたのお話をお聞かせください。

気合と根性だけで空回りしていた、あの頃の私のような若者を一人でも減らしたい。

そして、確かな自信とスキルという「武器」を持ってお客様と向き合えるプロフェッショナルを、あなたの会社から輩出したい。

そのための第一歩を、一緒に踏み出せることを心から願っています。

物流業界の営業に関するお悩みの解決方法はこちら

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